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CHAPTER 1
山
木の文化の落ち穂を拾う
当社の企業理念である、「木の文化の落穂拾い」。
農業の大規模化・工業化へとひた走る社会で、それらが溢していったものを拾う者、その両者が共存している姿、収穫の季節感、時代が表現された同題名のミレーの絵から着想を得ています。
工業化が進み、素材産業になりつつある木材産業のなかで、溢れ落ちていった木の文化を拾う存在でありたいと願い、これを当社の抽象的な企業理念とさせて頂きました。
やまかわ製材舎は、休眠していた製材所を再始動させ、天然生の「地物の木」と「旬」を活かす「木の文化」の流通を目指しています。
CHAPTER 2
川
古来より山と町を結ぶ川
やまかわ製材舎では、「山」と「川」を屋号に掲げています。
山と町を繋ぐもの、それが川。
陸運より水運が中距離輸送の主役だった時代では、川上で伐採された素材は川の流れによって町中へと運ばれ、流通へと乗せられていました。
木材流通では慣習的に、流通上の役割と立ち位置に合わせて、「川上」「川中」「川下」という表現が各事業者に対してされることがあります。
山から川、そして町へと、いわば流通の、ひいては人と自然との関係性におけるハブの機能をここ製材所を軸に据えながら構築し、柔軟かつ連続性のある中間流通を実現させます。
CHAPTER 3
製
木という素材のもつ時間軸と向き合う
やまかわ製材舎では2022年より、天然乾燥を省略した人工乾燥技術の開発実験に取り組んできました。
温水式というローテク方式ですが、だからこそ地域内のインフラ・技術で施工することができ、文字通りの地域内内製化で成立しています。
これまでは天然乾燥1年という期間が、よりクイックな現実の商売の時間軸と噛み合わず、どうしても製品在庫の中からでしか素材を選ぶことができませんでした。
短期乾燥を流通の選択肢に組み込むことで、これまで私たちが体感してきた木の「旬」な時間軸を、サプライチェーン全体で体感しながら、地場の素材の新しい可能性を広げていきます。
CHAPTER 4
材
地場の天然生の木を活かす
かつてこの地で盛んだった天然木での生業。
やまかわ製材舎のコンセプトの一つとして、こうした地場の天然生の素材の見直しを掲げています。
天然生の森林というのは、その有機性の高さから管理がしにくいといわれ、現代産業の中心からは大きく外れてしまっています。
ですが、有機性が高いということは、つまりは人に似ているということです。
人と付き合うように、木と付き合う、森と付き合う。
決して工業的ではない有機的な素材だからこそ、現代なりの新しい木の文化が育まれていく可能性に満ちているはずです。
CHAPTER 5
舎
土着の知恵と技術をつなぐ、新たな場所として。
ここ飛騨地域では、2015年頃より広葉樹のまちづくりを掲げ、地域に豊富にある広葉樹資源の活用に取り組んできました。
地域風土に根ざした地域材の流通を考える上では、地場に根付いた製材所の存在が欠かせません。
自然と産業の狭間に立ち、地場だからこその解像度の高さで折り合いをつけながら、人と素材の価値を引き出していく。
製材所が町の流通網のハブとして駆動することで、もしかしたらかつての材木通りにも、新しい灯火が灯るかもしれません。
そうした地域の未来に向けて、この製材所を地域の象徴として育てていきたいと考えています。